自社の営業戦略を考える場合、自社の特徴(得意な分野)での競争が、重要になります。
具体的な例を紹介しましょう。
この数年、業績の低迷が続いている会社があります。
この会社は、電子回路を繋ぐためのコネクタの部品および組立の受託を主体としています。
コネクタ業界では、近年、人件費の安価な中国に生産がシフトが進んでいました。
このような状況の中で、国内の下請け企業は、どのように生き残っていくか、販売戦略の見直しが求められました。
この会社では、同じコネクタ業界の中で、現在取引のないコネクターメーカーを開拓するという方針がまとめられ、実行に移されました。
この結果は、そうそう簡単に開拓できるものではないということで、前に進まなくなってしまいました。
つまり、現在取引のないコネクターメーカーでは、この会社と同じく、コネクタの部品および組立の受託をする協力会社を保有しているわけです。
それらの協力会社をやめて、この会社に依頼するだけのメリットがないと判断したわけです。
結局は、現在取引をしていく会社にトップセールスをかけて、受注の拡大を図ることになりました。
このときです。既存の客先から、その会社で現在困っている部分での受注を受けることになりました。
それは、自社の得意とするコネクタの組立てではなく、コネクタ部品を作るための金型部品の製作についての注文を大量に受けたのです。
確かに受注金額は、大きく伸ばすことができました。
しかし、金型部品は、社内で製作するのではなく、すべて協力会社に依存しているのです。
つまり、自社は、商社的な機能だけで、受注を受けたならば、協力会社で製作し、それらの部品を納品することになります。
したがって、付加価値は低く、なおかつ協力会社への支払いの方が早いため、資金繰りを圧迫してしまいます。
この会社では、本来、コネクタの組立を進める上で、効率化を図るための設備機械を社内で設計・製作していました。
このため、この効率を図るための設備機械を設計・製作することに、多くのノウハウを有する特徴があったのです。
これが、まったく生かされない状況での販売活動ということになったのです。
結果、大量の短納期の受注ということもあって、大幅な納期遅れが発生し、客先への信用を落とすことになってしまったのです。
このように自社の特徴を理解した販売戦略を立てて、実行していかないと利益が獲得できないばかりか、信用の失墜に繋がってしまうのです。
実際に、この会社の場合には、省力化・自動化機器の分野に販路を求めたところ、付加価値のある引合いを獲得できました。
製造会社の場合、多くの設備投資を必要とすることもあり、その投資から、自ずと自社の特徴というものが築き上げられていきます。
その特徴を認識した上で、販売戦略を進めていかないと、利益の獲得は難しいものになるのではないでしょうか。
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