官公庁等がISO9000(品質マネジメント規格)やISO14000(環境マネジメント規格)の取得を入札の条件としていたり、企業が個人情報や機密情報保護の観点からISMS(情報セキュリティマネジメント)やプライバシーマークの取得を取引の条件にするケースが増えてきました。
その結果、最近、中小企業においてもISO規格やプライバシーマークなどの取得を目指す企業が増えてきたように感じます。
これらの規格の取得と維持には費用がかかります。具体的には、審査の時点で審査機関に支払う申込料、コンサルタント費用、予備審査料、本審査料、登録料などがかかり、取得後にも定期審査料、更新審査料、登録維持料などがかかります。
金額的には、取得費用で100万円〜数100万円、維持費用でも数10万円〜数100万円かかると言われています。
今回はその税務処理についてのお話です。
たとえば、特許権や商標権などの工業所有権、営業権などの無形固定資産を取得した場合、その取得費用は原則として減価償却を通じて数年間で費用化していきます。
しかし、ISO規格やISMS、プライバシーマークなどは無形固定資産とはみなされていません。したがって、その取得費用や維持費用は支出した事業年度の費用(損金)とすることができます。
ただし、審査料などを前払いした場合は判断が難しくなります。審査機関によっては、審査の申し込み時に審査料などの一部または全部の前払いを要求される場合があります。
この場合、ISO規格などの審査期間が長期間(数ヶ月〜数年)かかることから、費用の支出日と規格の取得日が属する事業年度が異なる場合がでてきます。
このような場合、税務上は「前払い費用」として扱うことになります。前払い費用の場合、役務の提供が1年以内に受けられるのであれば、「短期の前払い費用」として支出日の属する事業年度の費用にすることもできますが、そうではない場合は役務の提供を受けた日の属する事業年度の費用になります。
いずれにしても判断が難しくなりますので、顧問税理士等に相談することをお勧めいたします。
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