「失敗」について考える

失敗があるからアイデアは蓄積される

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今回は、この製品開発における「失敗」について考えて見たいと思います。

近年の製品開発の期間は、どんどんと短縮されてきています。

事務機器やデジタルカメラなどでは、以前ですと開発スタートから1年〜2年程度の期間があったのですが、現在は、9〜12ヶ月ほどで商品化を進めるようになってきています。

これは、創造性を大切にする設計者にとって、期間という厳しい制約条件を受けたことになります。

私の関連した会社でも、設計者が、開発期間の短縮を図るために、多くの残業をして、期間の短縮に努力しているのを見かけます。

そしてもう一つ、現在の設計者に要求されていることがあります。

それは、コストです。より安価な費用で製品を作ることです。

つまり、設計者の要求されていることは、
1.製品に要求される仕様を満たすこと
2.決められた開発期間内にアウトプットを作成すること
3.競争力を持つコストで作れること

この3つは製品開発活動に中で、相互に関連しているものです。

ここでは、開発期間の短縮の面から考えてみます。

設計者は、製品に要求されている仕様に対して、新しいアイデアを取り入れようとするときに、そのアイデアが、うまくいけば安価でよい製品を作れるが、そのアイデアは、テストして、検証してみないと判断が難しいことがあります。

このような場合、設計者は、新しいアイデアを取り入れようとするでしょうか。

多くの設計者は、その挑戦をすることなく、安全な方法を選択します。

何故ならば、挑戦して、失敗した場合、やり直しをすることになり、開発期間の短いことから、残業で遅れを挽回できないと考えるからです。

結果的に、新しいアイデアに挑戦するよりは、従来の製品の延長線上で、一部の改良をする傾向に進んでしまうのです。

すると、製品としてのインパクトに欠けますから、ヒット商品にはなりにくくなります。

このような状況で、他社よりも優れ、価格競争力のある製品作りが可能になるでしょうか。

それは、難しいことではないでしょうか。

私は、このような状況の中でも、あえて挑戦する設計者をチャレンジャーと呼んでいます。

ただし、このチャレンジャーという方たちは、ただむやみに挑戦しているわけではありません。

彼らの多くは、自分のこれまでの経験やほかの設計者などから入手した情報を整理して持っています。

そして、それらを活用して、ある程度の裏づけを持って、製品開発に着手しているのです。

つまり、失敗する確率を最小限にして、新しいアイデアに挑戦しているわけです。

この結果、簡単ではないかもしれませんが、新しいアイデアの商品が生まれてきているのではないでしょうか。

それでは、この経験や情報について多くの設計者が、共有することができないかということになります。

そのためには、まず多くのアイデアとその実験結果を整備して、設計者にわかるようにしておくことになります。

ここまでの話ですと、大手の会社では、このシステムを整備しているところがあります。

しかし、問題は、実験した結果の整理なのです。

出されたアイデアは、要求された仕様に耐えられないとして終わりにしてしまっているのです。

そのアイデアは、「ここまでならば耐えられる。」、「ここに問題があるが、このようにすれば耐えられる。」などの確認まで進んでいないのです。

単に、今要求された仕様を満たせなければ、そのアイデアは役に立たないという判断なのです。

多くの設計者によって出されたアイデアは、よりよい製品を開発するための財産のはずです。

この財産を埋もれさすこと無く、生かしていくためには、実験による失敗の結果を次に繋げられるような整理をしておくことが必要ではないでしょうか。

失敗の成果(ちょっと変かな?)によって、他社にない斬新であったり、優れた製品を生み出していけるのではないでしょうか。

皆さんの会社でも、「失敗に学ぶこと」をもう一度考えてみてはいかがでしょうか。

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