最初のスタートは、ある設計者が開発したユニットの価格が非常に高くて困っている。何とかコストダウンのために協力してもらえないかという依頼からでした。
ユニットの構造は、意外と簡単なもので事務機器を置くための架台です。
四角いパイプを4本、四角く組み合わせて、その一面にバーリングをし、バーリング部にネジが切ってあります。(バーリングは、プレスの絞りで底部が穴になっている形状です)
このほかにパイプをある長さで切っているため、角で怪我をしないように保護用のゴム、架台の高さ調整のためにバーリング部に組付けるアジャスター(ボルトの頭が平べったく大きなもの)などです。
具体的に述べましょう。
この四角いパイプだけで、1本432円で合計1728円になります。
目標コストは、架台が800円ですから、四角いパイプ1本が200円以下です。
社内にコストエンジニアリングといって、コストの見積もり及びコストダウンのアドバイスをするメンバーがいます。
彼らが、コストダンの検討を加えたそうなのですが、目標には全く届きそうにも状況です。
私が伺ってまず検討したのは、四角いパイプの材料の変更です。
当初は、さびを嫌うためステンレス材を採用していました。これを事務用のテーブルなどで使っている材料への変更とさびに強い自動車用のメッキに変えたのです。
これだけで、四角いパイプ1本のコストは、100円台になりました。
つぎに、バーリングを採用し、ネジを切ってある部分です。この部分は、ネジ部一箇所あたり60kgの荷重がかかるのです。
ところが、それ耐える部分は、2山弱のネジ部ということになります。これでは、長期間もつことはありません。
このため、自動車業界で使われているポップナットに変更しました。
このポップナットは、多少のコストアップにはなりますが、要求された荷重に十分耐えうるものになりました。
このほか保護用のゴムについても、事務用机に使われている材料や形状など検討を進めました。
この検討を進めるにあたって、新しい設計者になったのですが、彼は、私が昼間打合せを行うと、翌日の朝にはFAXで回答とともに、自分の考える疑問や問題点を送ってきました。
この繰返しで5日間を楽しく過ごすことができました。
そして結果は、四角いパイプにポップナット、保護用のゴムがついて、1本128円のコストで対応できるようになりました。合計512円で、目標コストを達成して、おつりまであります。
このようにほかの業界の方式や方法などを知っていると、発展性のあるコストダウン検討ができるようになります。会社では、設計者も含め、会社にほかの業界も含めた広いアンテナを設けてみてはいかがでしょうか。
製品のコストダウンをどのように進めたらよいのか企業の第一の目的は、利益の獲得にあります。その経営活動は、結果として数字で表れされます。企業が、維持存続し、成長していくためには、この数字のからくりを理解し、経済性を高めることが大切です。それは、ただ数字を眺めているだけでは分かりません。やはり、経営活 …
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