売れる新商品を開発するコツとは?(医薬品業界の場合)

業界の常識は疑うべし!

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■このコラムでは、日常生活や新聞・雑誌などで目にした「お客さま発想な商品やサービス」の事例を取り上げ、その企業の担当者になったつもりで想像し、その商品のコンセプトを作るまでの「仮説の目の付け所」や「マーケティング調査の活用方法」を皆さまにご紹介しています。

◎得するポイント!⇒ 他業界の事例でも「関係ない」とお考えにならず、「自社に応用できるところはないか?」という視点で、何かのヒントにしていただけると幸いです。

●今回のお客さま発想事例 ⇒ 「医薬品の新コンセプト」

こんにちは! マーケティング イノベーションの鈴木規子です。

◆今回のご紹介記事(07年8月17日 日経MJ):

「一般用医薬品(大衆薬)が振るわない。厚生労働省によると2005年の生産額は90年以降でピークだった97年より3割縮小した。

消費者の健康意識の高まりという追い風を生かせず、逆に健康食品などの攻勢を許した。長年規制に守られ、内輪の競争に明け暮れていたツケが回ってきた格好だ。
(中略)

競合がひしめく分野にも休眠需要はある。
ロート製薬が昨年8月に発売した滋養強壮剤「ビタレスト」はカフェインを含まず、寝る前にも飲めるのが特徴。
一年目の売上高は10億円を超えた。

きっかけは開発担当者が抱えていた小さな違和感だった。
競合ブランドは「頑張るために飲む」という。しかし、それで消費者は本当に満足しているのか。

調査を繰り返すうちに浮かび上がってきたのは「寝て起きても疲れがとれない」
という消費者の悩みだった。

そこでビタレストでは睡眠中に疲れをとることをうたうことにした。
ほとんどの滋養強壮剤に含まれているカフェインを抜く一方、老廃物の排出を助けるアミノ酸や天然の生薬を配合した。

これまで滋養強壮剤とは縁の薄かった女性の購入が目立つ。

開発担当者は「消費者は常に変わっており、成熟市場にもチャンスはある」と
話す。


---記事抜粋はここまで---

このビタレストの記事には重要なポイントが2つあります。

ひとつは「業界の常識を疑う。その仮説を立てる」ということで↓この部分ですね。

《競合ブランドは「頑張るために飲む」という。しかし、それで消費者は本当に満足しているのか。》


ふたつめは
「睡眠力(睡眠が身体を元気にするパワーのこと。今、私が勝手に思い浮かべた言葉ですが)を消費者に意識させるように活用している」ということです。


ところで私は広告も、切り口がおもしろいな〜と思うものは切り抜いているのですが、最近、その中に偶然ロート製薬のものがありました。「養潤水」というものです。

この広告のキャッチコピー「昼のダメージは、夜、修復する」を見て、これは売れるのでは?と思ったのです。


「養潤水」の例を引きましたのは、偶然なのかもしれませんが、ビタレストの
事例と併せて考えると、ロート製薬では睡眠力の活用に注目していて、

「消費者が潜在的に感じている「睡眠の力」を最大限に引き出し活用して、からだ本来の姿に戻せるようにサポートする商品です」と訴求しているのかな?
と思ったからです。

そのコンセプトで考えると、どんどん商品の分野は広がりそうですね(スキンケア、かぜ薬、胃腸薬、etc・・・)

■ここからは、この事例について「消費者調査をしたとしたら・・・」という過去にさかのぼった私の妄想の世界です。

記事中にあるように《競合ブランドは「頑張るために飲む」という。しかし、それで消費者は本当に満足しているのか。》というのが企画・仮説の出発点となります。

これを市場調査の手順に置き換えると

1.自社と競合他社の商品とそのコンセプトを分類・分析する
 (ポジショニングマップなどで、視覚的に分類すると理解しやすい)

 ↓

2.消費者調査で滋養強壮剤の利用状況と満足度合いを把握する

・調査対象:
 全体像を把握する場合は、10代後半〜70代くらいまでの男女均等に。

・質問内容:
 ・利用経験(これまでの利用商品名、期間、使ったりやめたりする経験など)

 ・継続利用している人の、利用商品、期間、効果を感じるポイント、満足点

 ・現在は利用していない人のやめた理由、不満点

 ・滋養強壮剤を飲もうと思ったきっかけ1(「どこがいつどのようにだるい」と
  いったからだの状態の点から利用喚起の点から)

 ・滋養強壮剤を飲もうと思ったきっかけ2(誰かに聞いた、店頭で勧められたなど利用刺激の点から)

 ・滋養強壮剤により期待する状態や効果

  ↓

3.このような調査結果と、先に分析した商品コンセプトの分析結果とを分析し、空いているポジション(今回の場合は「頑張るために飲む」ではなくて「朝、すっきりと目覚めるために飲む」ですね)を発見します。


そして、計画(plan)⇒実行(do)⇒評価(check)⇒改善(act)で実施していきます。


今回は、コンセプトの空きポジションを発見した事例をご紹介させていただきました。

あまり知られていませんが、じつはマーケティングに強く、売り上げを伸ばしている企業は、アンケート調査をきめ細かく実施しています。

アンケートはさまざまなシーンで活用されていますが、「なぜアンケートをうまく使うと売り上げが伸びるのか?」を知りたい方はこちら(TOPページ)をご覧ください。

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