「知的資産経営」
知的資産経営? 従来の経営と何が違い、何をすれば良いのでしょうか?
*****冨を生み出す源泉が変化*****
冨を生み出す源泉が近年急激に変化しています。
ハード(設備、資本) ⇒ ソフト(知識の利用) ⇒ 創造力(変化させる力)
物を作れば売れた高度成長時代は、資本を投入し、生産すれば冨を生みました。
それが、物を生産しても売れない時代になり、コンピュータの発達とともに、知識が冨を生む時代となっています。 しかし、既にこの世界も定員を超えたようで、他社に無い何かを生み出さないと冨を確保できない「創造の時代」に入っているようです。
*****必要な能力も変化*****
このような変化に対し、必要な能力も変化しています。
安定維持の能力 ⇒ 変化への対応能力 ⇒ 革新能力(創造する能力)
大量生産が冨を生む時代には、その生産能力を安定的に維持することが重要でした。 しかし、世の中が変化し、従来の安定維持だけでは、冨の確保が難しくなり、その変化に追随することが求められる時代となりましたが、現在では、単に変化追随でなく、自社が独自性を持って、時代を切り開く「創造する能力」が求められる時代に突入したようです。
ここで、本日の主題である「知的資産経営」の登場となります。
*****知的資産とは*****
「従来のバランスシート上に記載されている資産以外の無形の資産であり、企業における競争力の源泉である、人材、技術、技能、知的財産(特許、ブランド等)、組織力、経営理念、顧客とのネットワーク等、財務諸表には表れてこない目に見えにくい経営資源の総称」と定義されています。
類似の概念として「知的財産」がありますが、こちらは「知的財産基本法」により、その財産権を認められた存在であるのに対し、知的資産は交換価値が明確でなく、売買の対象とするのは難しい存在です。
*****知的資産経営を進める*****
では、知的資産経営、どのように進めれば良いのでしょうか?
基本的には、「知的資産経営報告書」を作成することをお勧めします。
これは、自社の知的資産の現状を把握し、企業経営の根幹部分を強化・育成することを可能にするためです。
真に自社の競争力の源泉は何処にあるかを認識されていないことが多く見受けられます。 この結果、現在の強い商品を生んだ、業務手法が特定されず、悪いケースですと、その業務を外部企業に依存する業務変革をしてしまうわけです。
こうなりますと、次の強い商品を作り出す能力が強化・育成されることも無く、じわじわと、業績悪化が進行することとなります。
真に自社の競争力を生み出す源泉は何なのか? 非常に重要な問題です。
*****基本的進め方*****
1)企業環境の把握:
SWOT分析を中心に、企業が置かれている状況を客観的に把握します。
2)自社の知的資産の棚卸:
どのような知的資産が存在するかを明確にします。
3)自社の強みの明確化:
自社の真の強みの源泉を探します。
4)収益モデルの明確化:
自社の強みが、どのように収益に結びつくかを特定します。
5)知的資産戦略の構築:
どのような強みをベースに、どのような市場に、どのような商品・サービスを提供するか?
その提供のための手法を含めて、中長期計画を作成します。
6)報告書として纏めます。
*****報告書作成で?*****
この「知的資産報告書」を作ることにより、どのようなメリットがあるのでしょうか?
1)従来、不透明であった社内の知的資産が明確に把握できます。
2)自社の知的資産の根幹が特定でき、何を強化・育成すればよいかが判明します。
3)顧客、株主、金融機関、協力企業等、外部の関係先に対する自社資源の開示が、可能となり、信用の強化となります。
4)社内の共通認識のベースとなり、経営の意思統一に有効です。
終わりに
以上、知的資産経営の概要を紹介させていただきましたが、「如何に作るか」の時代から
「何を作るか」の時代に入った今、その強みの源泉となる「知的資産」の見直しをお勧めします。
より深くご関心の方には経済産業省の提供する「知的資産経営ポータル」サイトをご参照ください。知的資産経営報告書の事例等も開示されています。
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