【質問】
非常に厳しい経済状況の下でも、従業員をリストラして従業員やその家族を路頭に迷わすことは社長として絶対に避けたい、と思っています。とは言うものの、雇用を保つと会社が共倒れになる危険性もでてくるくらい、この不況は深刻です。
何とか従業員をリストラせずに、会社も続けたいと思っているのですが・・・。
【回答】
企業収益の悪化で事業活動縮小を余儀なくされた事業主が雇用維持に努めた場合に、休業手当や賃金の一部が助成される「中小企業緊急雇用安定助成金」制度を活用してみてはいかがでしょうか。
中小企業では、従業員と経営者の関係が非常に密なところが多いように思います。
不況だからといって簡単にリストラをするという経営判断を下しにくいご相談の社長のような方は本当に多くいらっしゃると思います。
企業収益の悪化で事業活動縮小を余儀なくされた事業主が、解雇はせず雇用維持に努め、一時的に休業、教育訓練、出向をさせた場合に休業手当や賃金の一部が助成される制度「中小企業緊急雇用安定助成金」が昨年暮れに創設されました。
従来の雇用調整助成金を見直して支給要件を緩和し、助成率も引き上げられました。
この助成金は以下のような用件の元、支給されます。
(1)最近3ヶ月の生産量や受注高がその直前の3ヶ月又は前年同期比で減少していること
(2)前期決算等の経常利益が赤字であること(生産量や受注高が5%以上減少している場合は不要)
また、受給できる金額は、
(1)休業の場合は、休業手当又は賃金に相当する額として厚生労働大臣が定める方法により計算した額の5分の4。但、一人1日当たり雇用保険基本手当日額の最高額が限度となります。
(2)教育訓練を実施した時は教育訓練費として一人1日当たり、6,000円を(1)に加算。
(3)出向の場合は出向元事業主の負担額(概ね2分の1を上限)の5分の4(支給上限(1)と同じ)。
(4)支給限度日数は一つの対象期間につき対象被保険者×100日が限度。
助成金を申請するには休業初日の概ね2週間前までに「休業等実施計画(変更)届」に添付書類を添えてハローワークに届出ておく必要があります。
社員を自宅待機させ、休業させると会社は平均賃金の6割以上の休業補償をすることが労基法で義務付けられています。
厳しくとも雇用維持に努めたいと考える企業にとってこの制度の利用を検討してみるのもよいでしょう。
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