資本金の金額はいくらが適切?
長年、雑貨店で働いていたA氏。
彼女はこれまでの経験と自分のセンスを活かして、
自分の雑貨店を持つことになりました。
かつて一緒に働いていたB氏に、新しい店を持つ挨拶に行きました。
B氏「おめでとう。会社にするの?」
A氏「法人のほうが信用もあるから、会社にするつもり。」
B氏「最近は資本金1円でも会社が作れるからね。」
A氏「だから独立して会社を作るのも楽になったな、って思うわ。」
■ 規定があるからお得な資本金の額
結論から言いますと、
「資本金の金額は慎重に決めなければいけない」と思っています。
詳しくは追々説明していきますが、基本的な考え方として
「有利な規定が使える資本金の金額」というものがあります。
その金額とは「資本金1000万円未満」です。
消費税は、基準期間(前々事業年度)における課税売上高が
1000万円以下の場合、免除となる制度があります。
新たに設立された法人については基準期間(前々事業年度)ありません。
だから、設立1期目と2期目は原則として免税になる・・・はずです。
ところが、基準期間がない法人(新設法人)のうち、
その事業年度開始の日における資本金(出資金)の額が1000万円以上の法人は、
たとえ基準期間がない事業年度でも免税にしない(納税義務がある)
という特例が設けられています。
逆に言うと、資本金等が999万9999円までであれば、
設立1期目と2期目は免税事業者になれるのです。
また、毎年の決算時に必ず支払う
法人住民税(法人都道府県民税と法人市町村民税)の均等割税額も、
1000万円を境に税額が変わってきます。
東京都23区の例で見ると、従業員50人以下の企業で
資本金が1000万円以下の場合の均等割税額は7万円、
1000万円超1億円以下の場合は18万円となります!
消費税は赤字企業でも納める可能性が非常に高い税金、
法人住民税の均等割は、どの法人も必ず納めなければいけない税金です。
どちらの規定も、資金がショートしがちな設立期には、
使えるものなら使いたい有利な規定ですね。
■ あなたの会社はそれで大丈夫?
以上を踏まえて、1000万円未満の資本金ならいくらでもOK!
・・・ではありません。
雑貨店を立ち上げるA氏の場合はどうでしょうか。
開店するには、まず店舗が必要です。
彼女のセンスを活かすには、内装のリフォームが必要かもしれません。
何より、商品の雑貨を仕入れなくてはいけません。
それも、店舗として成り立つ程度のまとまった数の商品を仕入れる必要があります。
ここまで準備してやっと開店です。
お客様が商品を買って売上になるのはさらに先になるかもしれません。
もし、A氏が何も考えずに資本金1円で開業してしまったらば?
店舗はおろか、商品の仕入すらままなりません。
すぐに増資するのもお金がかかるから、
社長からの借金で急場をしのぐ、といった事態に陥ります。
(社長からの借入金は、自己資本比率が下がり銀行の受けが悪くなる、社長に万一のことがあったらば社長借金残高は全額、相続税の対象となるなどの問題があります)
売上・入金までの間に、
手元資金が必要になる業種や業態があることに注意が必要です。
ですから、資本金の額は、有利な規定を念頭に、
どのくらいの初期費用がかかるのかを慎重にシミュレーションした上で
決めるべきだと思います。
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