新製品を開発する場合に設計者は、まず何を考えるでしょうか。
商品企画書(仕様書)を読んで、どのような商品が欲しいかを理解した後、理論的には、その要求を満たす方法を考え、具体的な構造をイメージしていくことになるでしょう。
しかし、実際には、そのようなことは稀で、設計者は、自社の類似した商品あるいは他社の商品を真似て、具体的な構造をイメージしています。
とくに、若い設計者であれば、なおのことです。
これを繰り返すことによって、設計の経験と実績を積むことができますし、設計者も自信を持つようになってきます。
設計者の育成を図るうえで、この真似ることは意義であることだと考えます。
ただ、ここからが大切です。
真似ている商品について、設計者は、理論的にその中身をどこまで理解出来ているのかということです。
たとえば、工作機械で材料や部品、刃物などを移動するときに油圧装置を採用しているとします。
油圧装置の場合、重量物を動かすなどの大きな負荷に対して、大きな効果を発揮できます。
また、構造もシンプルでコスト面でも有利でしょう。
しかし、近年の工作機械に求められている高速切削に対応しようとすると、迅速な動きに対して不向きです。
これは、工作機械の関係者だけでなく、省力化機器などで油圧装置を採用している設計者だけでなく、製造現場や営業の方でも、ご存知のことであると思います。
さて、ここからです。
それでは、油圧装置では、どの程度までの速さに対応できるのでしょうか。
また、重量物を移動できる利点がありますが、重さや移動距離などはいくつまで可能でしょうか。
これには、理論的な部分と実験データによる検証があります。
大手の製造企業ですと、自社商品で実機テストをおこない、実験データを取っています。
そして、社内の設計標準として回覧や文書での配賦を行なっています。
このような実験データなどをもとに社内の標準や規格を作成していますか。
もし、あるとしたならば、それらの標準や規格の存在を設計者は、ご存知でしょうか。
また、それらの技術資料の内容や値を確認したことがあるでしょうか。
訪問した企業の中には、社内標準や規格を作成している会社もあります。
しかし、それらの資料を設計者が確認しているかというと、少ないことに驚かされます。
さらに、それらの資料は、技術革新とともに規格としている値も変わってきています。その改定がされていないケースもあります。
本来設計者は、要求を満たす方法を考えるときに過去に知りえた知識や経験と照らして、
構造をイメージするのではないでしょうか。
そうであるならば、知識や経験の更新も必要です。
そして、要求を満たす方法の候補の中から経済性を考え、もっとも適切な方法を選択し、その構造を考えて行くことになるのではないでしょうか。
そのためには、知識や経験となる技術に関する情報の整備、とくに原価を含めた情報が求められるのではないでしょうか。
そして、製品開発のしくみの中に組み込まれて行くようにすることが必要です。
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