現物出資、財産引受と事後設立

事後設立

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財産引受と事後設立

事業を始めるためには前もっていろいろな準備をします。

設立登記をするまでは法人格が存在しないのだから資産購入等の契約は会社成立後にしかできないとするのは酷です。私のプリンターでさえ搬入までに1週間くらいはかかりましたから、会社が仕事で使う自動車もOA機器もなにもかも(製造業では機械装置などもあります)会社設立後にしか購入契約ができないとなると実際に営業を開始できるのはずっと先になってしまいます。

このいわゆる開業準備行為のうち、発起人が会社設立前に会社の設立を条件として資産を購入する契約を締結することを「財産引受け」と言います。

財産引受について会社法は、定款に譲り受ける財産と価額と譲渡人の氏名又は名称を記載するように求めていて(第28条)、現物出資と同じように検査役の調査を義務付けています(第33条)。

現物出資も財産引受も会社設立時の資本充実を担保することや、他の発起人との不公平を防止することを目的としています。

事後設立とは、設立後2年以内の会社が、設立前より存在する営業のために継続して使用する財産を譲り受ける契約を締結することです。

財産引受が会社成立「前」に結ぶ契約に限定しているために、事後設立の規定は会社設立「直後」の契約にも規制をかけるものとなっています。

商法では、事後設立についても検査役の調査が義務付けられていましたが、会社法では緩和され、検査役の調査は求められず、特別決議によって行うことができるようになりました。

商法が適用されていた時は、この事後設立の規制を避けるために、設立から2年間は賃貸借の形式をとって使用したり、設立から2年を経過している休眠会社を買い取って営業譲渡で移転するといった手法がとられていたようです。

会社法になったので、学研同好会で取り上げられたケースでは、法人を設立して、その後特別決議を経て賃貸用不動産を購入すれば会社法違反にはなりません。

(定款の記載又は記録事項)

第28条 株式会社を設立する場合には、次に掲げる事項は第26条第1項の定款に記載し、又は記録しなければ、その効力を生じない。

 一 金銭以外の財産を出資する者の氏名又は名称、当該財産及びその価額並びにその者に対して割り当てる設立時発行株式の数

 二 株式会社の成立後に譲り受けることを約した財産及びその価額並びにその譲渡人の氏名又は名称

(定款の記載又は記録事項に関する検査役の選任)

第33条 1 発起人は、定款に第28条各号に掲げる事項についての記載又は記録があるときは、第30条第1項の公証人の認証の後遅滞なく、当該事項を調査させるため、裁判所に対し、検査役の選任の申立てをしなければならない。

    2〜9  省略 

      10 前各項の規定は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める事項については、適用しない。

        一 第28条第1号及び第2号の財産(「現物出資財産等」)について定款に記載され、又は記録された価額の総額が500万円を超えない場合・・・・・同条第1号及び第2号に掲げる事項

        二 現物出資財産等のうち、市場価格のある有価証券(以下省略)

        三 現物出資財産等について定款に記載され、又は記録された価額が相当であることについて弁護士、弁護士法人、公認会計士、監査法人、税理士又は税理士法人の証明を受けた場合・・・・・第28条第1号又は第2号に掲げる事項

(事業譲渡等の承認等)

第467条 株式会社は、次に掲げる行為をする場合には、当該行為がその効力が生ずる日(「効力発生日」)の前日までに、株主総会の決議によって、当該行為に係る契約の承認を受けなければならない。

 一 事業の全部の譲渡

 二 事業の重要な一部の譲渡

 三 他の会社の事業の全部の譲受け

 四 事業の全部の賃貸、事業の全部の経営の委任、他人と事業上の損益の全部を共通にする契約その他これらに準ずる契約の締結、変更または解約 

 五 当該株式会社(第25条第1項各号に掲げる方法により設立したものに限る)の成立後2年以内におけるその成立前から存在する財産であってその事業   のために継続して使用するものの取得。ただし、イに掲げる額のロに掲げる額に対する割合が5分の1を超えない場合を除く。

   イ 当該財産の対価として交付する財産の帳簿価額の合計額

   ロ 当該株式会社の純資産額として法務省令で定める方法により算定される額 

現物出資、財産引受、事後設立の比較表

形態

現物出資

財産引受

事後設立

概要

金銭の代わりに財産(固定資産、営業権、知的所有権、有価証券等)を出資して行う設立または増資。

会社成立前に締結する

(会社成立後に行う)財産の譲渡契約

事業譲渡契約の一種。

成立2年以内に成立前から存在する事業のために継続して使用する財産等(固定資産、知的所有権等)の取得。

条文

会社法28条一

会社法28条一

会社法467条五

手続き

検査役の検査が必要。

検査役の検査が必要。

株主総会特別決議

上記手続き

が不要な場合

資産価額500万円以下の現物出資

資産価額500万円以下の譲受契約

資本等の20%以下の事業譲渡

設立時の定款記載

必要

必要

不要

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