「Uカーブ」で考える

省エネ大賞から販売手法を学びます。

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Uカーブ、別名スマイルカーブとも呼ばれますが、経営分野で使用されるときは、横軸に色々な指標をとり、それら指標により、利益率がどのように変化するかを表すことが多くあります。

  

このUカーブを形成するケースとして本日取り上げる問題は、横軸に商品の製造段階を、縦軸に利益率採るケースです。

  

 横軸を進行方向に部品製造、組立て、アフターサービスの製造段階で分け、縦軸に利益率を採った場合、近年のデジタル化が進んだ家電商品であれば、代表的なUカーブを形成します。

  

パソコンを例にとりますと、インテルが圧倒的強みを発揮するマイクロプロセッサー等、部品の利益率は高く、次工程である組立て工程は、各社入り乱れての激しい戦いのため、利益を確保することが極めて難しく、利益率としては底這状態を呈します。

  

一方、更に次工程であるアフターサービス分野は、競合企業のエリア的制約もあり、競合の少ないケースが多くなります。また、自社商品に対するメンテナンス等サービスであれば、保証問題もあり、独占的な立場を確保できる場合も少なくなく、この段階の利益率は上がります。これら製造の3段階を横軸に、それぞれの利益率を縦軸に採りますと、Uカーブが形成されます。

  

 こう考えてきますと、商品の研究開発から企画、設計、製造、販売のどのステージで、収益を確保できるのか、自社の強みが発揮できるのはどのステージなのかを十分に見極めた取り組みが、事業の収益性を確保するための第一歩となります。

   

以前から、コピー機などの販売の際には、本体販売での利益は薄く、納入後の自社機専用の消耗品(インク等)販売で収益を上げるインストール・ベース型収益モデルが有名です。

このケースも、アフターサービスステージの独占的優位性を基盤とした収益確保策と云えます。

  

 米アップルの場合、開発、企画、設計、販売のステージを自社業務と捉え、部品製造や、組立てに関しては世界最適調達を実施すことにより、20104月~20113月末までの粗利益率がiphone販売で50%を超える水準を確保しています。しかも、最も大きな投資金額が必要となる製造ラインを持たないことは、6兆円越えで保有する現金性資産を研究開発分野に集中できます。投資リスクの低減と同時に、成長可能性のある斬新な商品開発へ潤沢な資金供給が可能となるわけです。世界の人々から待ち焦がれる商品を生み出す原動力は、芸術家であることを目指すエンジニアの存在だけでなく、納得のいくまで企画開発を進めることができる資金力の存在も無視できません。

  

 近年は製造業のサービス分野への展開が進んでいますが、2011年度の省エネ大賞の経済産業大臣賞(ビジネスモデル分野)を受賞した㈱日立製作所情報制御システム社の「日立モータドライブ省エネサービス」は、その性能に自信がなければできないサービスであり、製造業の新しい収益モデルとして興味深いものです。

  

本ビジネスモデルは、投資額や、その性能への信頼性のため、なかなか導入まで踏み切れない、大容量タイプのインバーター導入や省エネ機器を、導入のための初期投資なしで、導入計画から、運用、メンテナンス全てを含む総合契約を結ぶことにより、達成できた省エネ実績から、その利得分を両社で分割するビジネスモデルです。これにより、受け入れ企業側の初期投資は不要となり、しかも、効果に対する保証もあることが評価された受賞と考えられます。

  

これに似たビジネスモデルとして、ヤフーのiPad販売があります。ヤフーのインターネット接続契約だけで、iPadの購入費用(含む分割払い契約)が不要となるサービスです。16GBタイプの場合、ベーシックデータ定額プラン(基本使用料)が割引されて月額4,410円、ウェブ基本使用料が月額315円、機種代金が53,760円(24回の分割で月額2,240円)ですが、この機種代金が不要とのこと。正に、インストール・ベース収益モデルの究極版とも言えます。

  

パナソニックの提供する「あかり安心サービス」等も、物(電燈)売りから有料サービス提供への変革です。製造業の収益確保策は多様化の時代を迎えています。どのように収益を生み出すのか?

新商品・新サービス開発による成長戦略の視点として、ビジネスモデル革新の視点が求められます。

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(有)関西中小企業研究所は大阪に拠点を置き活動する中小企業診断士の事務所です。 企業の未来創りを応援しています。 今後の発展が期待できる分野に足掛かりを創り、新事業展開を図りたい。 新製品・新技術開発の推進により、更には、新事 …

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