債権回収にとって重要なポイントとは?
−早期の対処、一歩進んだ行動の実践−
事業を運営していると避けては通れない未払い金や長期滞納金に対する対処、この問題を解決していくうえで、「どのように考え」、「どのような方法で」、「どのように対応していくか」、こういったノウハウをもち、適時、適切な方法でそれを駆使して対応していくのと、いたずらに頭を抱え、時間を経過させ、あわてて対応するのとでは、結果が大きく違ってきてしまいます。例えば、未払い金発生時の対処について、法的側面を考慮しながら有効な仕組みをシステム的に構築することや、社内全体の問題意識を深めて、常に迅速に対応する姿勢があるのとないのとでは、年月が経つと滞納金の蓄積額に大きな差が出てしまいます。
弊職は前職において長年債権回収部門に在籍し、実際に回収活動をおこなってまいりました。その経験に基づき、この債権回収に関する問題についてそのポイントを述べてみたいと思います。至極当たり前の内容ではありますが、この当たり前のことをどれだけしっかりと、かつ適切に運営できるかがポイントになります。
★弊職はマンション管理士でもありますが、例えばマンションの管理費等を例にとると、滞納管理費等の回収は、言うなれば病気に対する治療と同じようなものであると当事務所では考えております。すなわち次のような考え方が非常に重要になってきます。
手遅れになってからでは治療が困難。できるだけ早期に対処することを試み、悪化することを防ぐことが大事(回収可能な金額の時点で早期に対応をおこなうことで、現実に回収が可能となる)
患者(滞納者)の状況をよく確認し、その状況を把握したうえで、適切な対処法を考えることが大切。
根気よく患者(滞納者)に対して対応することが大切。
一般的に債権の回収で重要なことは、“滞納を発生させているような方”に対しては、催促をしないと(実際に督促活動をおこなうとともに、それを適切な方法で強化する)支払ってはいただけないことを強く自覚する必要があります。特にある程度長期になってしまっている滞納者に対しては、一歩進んで今までおこなっていなかった催促(督促)活動を実際に進めていくことが必要です。
すなわち、返済計画が提出されていても、毎月、払ったり、払わなかったりと不安定な場合などは、返済計画書等を私文書から公文書に切り替える、あるいは、相手方に会社側の姿勢を示し、プレッシャーを与えて返済が確実なものとなるよう、裁判上の手続に移行するといったことです。
※私文書でも、実際に約束通り返済を履行されているような場合は、そのまま様子を見ながら対応することが肝心です。下手に返済方法を厳しくしたりすると、かえって回収ができなくなる場合があります。
マンション管理費等回収のための活動例
<滞納者との面談が可能な場合>
・面談による話し合いが可能な方に対しては、まず滞納金の支払方法について面談を実施する。
・返済の意思のある方については、書面で返済計画書を提出してもらう。
・支払う意思はあるものの、度重なる返済計画書通りの支払不履行や、毎月の計画通りに履行されない方に対しては、自覚とプレッシャーをもって支払をおこなっていただくよう、公的書面(※強制執行認諾約款付債務弁済契約公正証書等)による返済計画書を作成する。
※強制執行認諾約款付の公正証書を交わしておけば、最悪の場合、裁判の判決を経なくても差押等の強制執行をすることができます。この公正証書は執行証書といいますが、通常、差押などの強制執行をおこなうには裁判を経て勝訴し、確定判決を得て相手方に支払いを命じ、それでも相手方が支払いを履行しない場合でないとできませんが、この執行証書があれば、裁判→勝訴→相手方が支払いを不履行、といったプロセスを踏まなくても、公正証書(債務弁済公正証書)で規定された条項の不履行があれば執行することができる“優れもの”といえます。
<面談が不可能な場合>
・内容証明郵便を送付し、返済を求めるとともに次段階の行動を示唆する。
・少額訴訟の提起(滞納額が60万円以内の場合)
・簡易裁判所に調停の申し立てをおこなう。
・支払い督促の申し立てをおこなう。etc…
☆注意点
「少額訴訟」は同一の原告が、同一の簡易裁判所に申し立てることができる回数は、年十回までと定められています。
「支払い督促」の申立てをおこなった場合で、相手方が全額一括返済は無理で、分割返済を求められた場合は「異議申立て」となり、通常訴訟に移行してしまいますので、相手方の返済能力を把握するなどの対処も必要になってきます。仮に一括返済以外は認めないといった場合以外であれば(分割でも確実に回収したいといった場合)、支払い督促以外の方法を検討することも必要です。
※裁判上の手続を進め、裁判所からの呼び出しや支払い督促が発付されることによって、それまで話し合いにも応じなかった滞納者から逆に話し合いを求められる場合もあります。その場合は話し合いの上、裁判上の手続を回避し、結果的に回収が進むケースもあります。
(現実には裁判上の手続を取り下げ、かつ回収も進むケースがあります)
<債務弁済公正証書の案文例>
いずれにしましても、商品代金の未払い常習者、長期の滞納者等に対しましては、適時、適切な対処法を講じて、回収活動を強化しなければ、滞納問題が好転することはありません。そして、滞納費の回収については、まだ“支払いが可能な額”のうちに早め、早めに対処することが何より大切です。滞納金の額が嵩んでしまってからでは回収が困難になり、手遅れになってしまいます。
つまり“20万円なら払えるが、100万円は払えない”といったケースで、こうなってから対処するのでは遅いということです。
弊職が知る限り、未払い金、滞納金に対する対処が甘く、それでも会社の業績が伸び、良好な財務状態を維持しているといった会社はあまり見たことがありません。
弊職は前職において。長年、債権の回収業務を担当し、また行政書士として権利義務に関する書類の作成を業としておりますので、場合によっては滞納者との面談に同席させていただき、状況の確認をおこない、回収に関する公的な返済計画書(公正証書による債務弁済契約書等)を作成することが可能です。
また、裁判上の手続が必要な場合など、状況によっては弁護士、司法書士等との士業ネットワークがありますので、いかなるケースにおいても適切な方法を講じるよう支援させていただくことができます。
債権の回収は、“早期に、適正な手段を講じて、実際に催促(督促)を根気よく実施する”
これが鉄則です。
※「根気よく」とは、支払日が近づけば、長期の滞納者等の常習者にはその旨を前もって知らせ、支払いを確実にするなどの作業等です。
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