昨年の金融緩和以降、円安傾向も安定して維持しているように見えます。
これは、これまで海外から調達している原材料や部品が為替によって、値上げになることでもあります。
この変化は、円高によって押さえつけられていた国内の中小加工メーカーの中に、値上げを要求する動きになったところもありました。
その一方、原材料の値上げを価格に転嫁できず、苦しんでいる中小企業もあります。
そして、4月から消費税のアップが始まりました。
これに対して製品を販売する企業の立場からは、実質的な価格の上昇を押さえるため、コストダウンの重要性を意識するようになってきています。
その一方で、「コストダウンは限界に来ている、もうムリだ。」と考えている企業もあります。
そして、このような状況の中、「どのようにコストダウンを進めればよいのか。」の相談を受けています。
それらの企業を訪問し、実際に打合せを持ってみると一つの共通点を持っています。
それは、コスト意識が欠けているということです。
打合せの中では、原価やコスト、コストダウンなどの言葉を用いていますが、具体的に製品や部品のコストダウンのための情報を確認しますと、思いがけない返答がくるものです。
たとえば、訪問した会社の購買の責任者の方に、コストダウンをするにあたって、「材料の基準単価を持っていますか。」という質問をしました。
その回答は、「調べればわかります。」でした。
つまり、各種の部品に共通で用いられる材料の単価に関して、その基準となる金額を調べないとわからないということです。
コストダウンを進めようとしている購買部門では、いまだ材料単価の資料を整備していないのです。
さらにその会社では、調達品について20%以上のコストダウンを目指しているということでした。
これに対して、鋳物を対象に知合いの会長に同行いただき、コストダウンの検討を加え、7点中4点の部品について、部品費15%ダウンの提案をしました。
これは、「コストダウンはできるのだ。」という意識を持っていただこうと考えて進めたものです。
皆さん考えてみていただきたいのですが、コストダウン20%は、言うほどに簡単なことではありません。
それは、相当にダイナミックな戦略を立てて、改善を図っていっても達成することが難しいという数値です。
これを達成しようとする意識は非常に重要です。
しかし、コストダウン目標を達成するためには、コストとは何か、自社の現状コストの分析、コスト改善点の把握などコストについて、よく理解することが求められます。
この部品費15%ダウンのケースでも、鋳物用に金型を採用し、切削量を減らすことで、コストダウンを図りました。
このため、木型から金型に変更するために、型費に大きな投資が必要になります。
当初は、型費用を抑え、部品費5〜10%のコストダウンの方向で検討していました。
しかし、大きなコストダウンを図るためには、それに応じた投資が必要になるものです。
結論を申し上げますと、金型に対する投資の大きさをみて、検討を止めてしまいました。
それまでの経緯を含め、20%以上のコストダウンを目指すといいながら、結果からみると何かからかわれているように感じてしまいました。
訪問した会社では、高いコストダウン目標は掲げているものの、「実際にどのように進めるべきか。」で悩んでいるということでした。
材料単価の整備をしていないこと、鋳物用の型にはどのような方法があるのか、型費と部品費のバランスとコストパフォーマンスの理解不足、そして説明しませんでしたが型費と部品費を分けていないなど身近に知っておくべきコスト情報を持っていないのです。
これは、コストダウンを叫んでも、情報がない以上、コスト意識を持つことは出来ないのではないでしょうか。
まず、コスト情報を身近に整備しておくことが、コスト意識を高めることになるのではないでしょうか。
そして、コスト意識を高めないとコストダウンの推進と成果に結びつくことは難しいのではないでしょうか。
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