このコラムでは、日常生活や新聞・雑誌などで目にした「お客さま発想な商品やサービス」の事例を取り上げ、その企業の担当者になったつもりで想像し、その商品のコンセプトを作るまでの「仮説の目の付け所」や「マーケティング調査の活用方法」を皆さまにご紹介しています。
◎得するポイント!⇒ 他業界の事例でも「関係ない」とお考えにならず、「自社に応用で
きるところはないか?」という視点で、何かのヒントにしていただけると幸いです。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●今日のお客さま発想事例 ⇒ 「あのガンダムだから、このマーケティング。」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
マーケティング イノベーションの鈴木規子です。
今日は10月7日の日経MJの記事からです。
「あのガンダムでもこのようなマーケティング調査を・・・」
「いや、あのガンダムがブランドを維持し続けているのは
こういう地道なマーケティング調査をしているからこそ」、という事例です。
御社でも、この考え方を応用していただければ幸いです。
記事抜粋:
「アニメ「機動戦士ガンダム」の放送開始から今年で30年。
番組に当時熱中した小中学生は今、40代。熱心な固定ファンの存在は
強みでもあり、年齢層の偏りという弱みでもある。
(中略)
DVDの購入者は従来30〜40代の男性がほとんどで、数あるガンダム商品の
中でも客層の偏りが大きいものの一つだった。
「これから販売を大きく伸ばせるのは、財布に余裕のある30代女性くらい」
(クリエイティブ部部長)。若い女性の間で声優人気が高まっている状況を利用し、
声優ファンをガンダムファンに誘導する。
(中略)
バンダイナムコホールディングスは今年に入って数万人規模の消費者を対象にした
大規模な調査に着手した。
「いつどんなきっかけでガンダムに接触したのか」
「どんなガンダム商品なら金を出してもよいか」。
世代別、年代別にガンダム意識を徹底的に探る構えだ。
これまでも消費者調査はやってきたが、対象はガンダムイベントに来る客など。
人数も多くて数千人単位だった。
国民的キャラクターに育てるという目標を前に、ガンダムファンの声だけ聞いて
いればいい時代は終わった。
バンナムは新規ファン取り込みに向けて加速を始めた
---記事抜粋はここまで---
記事内容をマーケティング調査の視点で簡単にまとめますと、
・これまでは既存客を維持する戦略をとっており、既存客対象に消費者調査を実施していた
↓
・今年からは新規客を獲得する戦略を加え、既存客以外の消費者を対象に調査を実施している
余談ですが、上記の戦略はアンゾフの成長ベクトル論を参考にしているとみられます。
【市場】×【製品】でどこを狙うかの考え方です。
(以下は概略図です。「市場」という言葉は「顧客」という意味も含んでいます)
| 【既存製品】 | 【新規製品】
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
既 | |
存 | 市場浸透戦略 |(新)製品開発戦略
市 | |
場 | |
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
新 | |
規 |(新)市場開拓戦略| 多角化戦略
市 | |
場 | |
これまでは主に30〜40代男性市場の中でのガンダムの浸透策や
新製品開発戦略であったのを、新規市場(女性や、ガンダム世代の子ども)に
今後は拡げていく戦略のようですね。
●安易な新規市場開拓戦略は再考を。
この、ガンダムの事例では、既存市場に対するマーケティング策を尽くした上で
新規市場へと拡大するという順序を踏んでおり、既存市場で培ったノウハウなど
経験を新規市場でも活用できると考えられます。
けれども、こういった既存市場(既存顧客)へのせいいぱいの努力をせずして、
新規市場開拓こそが売上アップの手段と考えてしまう企業があるようです。
先日、マーケティング相談を受けたお話しをご紹介します。
・その企業は日本では2社しかない設備と技術を持ったメーカーで、
医薬品メーカー、化粧品メーカーなどの大企業が主な顧客である。
・いくつかの部門に分かれているが、そのひとつの部門の売上高が
2009年は2007年の約三分の一に、2010年はゼロになると
予測している。
・売上が激減している理由は、顧客がもう1社の方のライバル社に
取られているからで、取られた理由として認識しているのは
「自社は小ロットに対応できていないが、ライバル社は対応できる」
「自社はクライアントの○○○したいという要望に対応できていないが、
ライバル社は対応できる」ということ。
・そこで、売上確保のために、一般消費者を対象とした新商品開発の仕方を
アドバイスしてほしい。
という相談でした。
「新商品開発はセンミツ(千のうち3つしか残らない)と言われるくらい、
いやそれ以上厳しいものなんですよ!!」とお話ししたうえで、
商品開発についてはのちほどアドバイスをしましたが、
「それよりも、御社の場合は、まずは既存市場(顧客)のテコ入れをすることが
最優先施策ですよ。」とおせっかいながらアドバイスしておきました。
今すぐに、ライバル社への顧客の流出を食い止めるよう改善し、
すでにライバルに行ってしまった顧客にも「改善したので、また使ってみてください」と
誠意をもってアプローチすべきです。
そういった「今やれることをやり切ること」をせずに、
安易に新規市場に甘い夢を描くようなぬるい考えでは、とうてい新商品開発といった
時間、労力、資金等々がかかる厳しい道を進むことは無理ではないかと思われます。
こういう話をしますと、新商品開発や新規客獲得を否定していると
誤解されそうですが、そういう意味ではまったくありません。
マーケティングとは新市場を創造することですので、
新商品開発や新規客獲得もそれに含まれます。
問われるのは、新規市場参入に臨む経営姿勢です。
要は、参入する場合には
・「逃げ」の発想ではなく、「攻め」のスタンスで。
・そして「今やるべきことは、やり切ったか?」を、今一度自問自答して。
参入を検討してしていただければと考えます(^_^)
●それぞれの会社により様々なケースがあり、
どうがんばっても既存市場に今後成長の見込みはないとか
今後だんだん市場が消滅する、といったこともあるかもしれませんので、
「何が何でも既存客対応に注力しましょう」というのではなく、
自社の状況をよく分析した上で、最適な戦略を選択していただければと思います。
また、その業態自体が新規客を集め続けないといけない業態の場合は、
新規客(市場)とひとくくりにせず、市場自体をよく分析して
新市場にはならないと思っていたところが実は新市場というところはないか?
あるいは、一度サービスを利用してもらったらそれきり、と考えるのではなく
自社の財産である「顧客リスト」を活用した新事業展開はないか?など、
とにかく「できない」と決め付けずに「よく考えてみる」「トライしてみる」
ことを強くお勧めします。
繰り返しますが「できない」と決め付けずに、違う視点・角度から
見て考えてみてくださいね。
上記のコンサルティング事例のような相談、マーケティング調査に関する相談はいつでもお受けしていますので、以下までお問合せくださいね。
当社の強み:
当社は女性ならではのきめ細かい対応でも評価をいただいております。御社のお話をよく伺い、課題を整理した上で、当社がお手伝いできる分野において、期待を越える結果でお応えいたします。(お客さまの声はこちらへ)
また、クライアントの課題解決をサポートできる「視点・着眼点」「調査設計力」「分析力」「課題を解決する提案力」が、マーケティング会社の真の評価点であると肝に銘じ、研鑽を積んでいます。 格安料金で気軽にご利用いただける「アンケート用紙作成代行サービス」でも、その納品内容の質の高さに、これまで全員の方が「さすがですね!」と驚かれ、そして満足いただいています。
以下の各サービスについては無料資料をご用意しておりますので、どうぞご遠慮なくご請求いただければ幸いです。クリックしていただくと資料請求・問合せ画面に移ります。
●アンケート用紙作成代行サービス(アンケート用紙だけを作成) (自社で作る「自己流アンケート」では失敗することが多いものです。プロの調査設計と調査票が格安料金で手に入り、「使えるアンケート結果」がゲットできます。)
●アンケート調査代行サービス:アンケート調査+提案
(《調査設計 → 調査票作成 → 調査の実施 → 集計・分析 → 課題解決策の提案》の、一連の業務を丸まま当社でお請けします。)
●グループインタビュー調査代行サービス:グループインタビュー調査+提案 (《調査設計 → インタビューフロー作成 → インタビュー調査の実施 → まとめ・分析 → 課題解決策の提案》の、一連の業務を丸まま当社でお請けします。)
●社内マーケティング力躍進サービス:コンサルティング (商品開発・サービス開発、顧客満足向上、リピート率向上、自社の強み発見分析、社内意識改革、社員満足度向上といった課題についての、マーケティング手法での解決方法を、現状の把握から解決計画の実施、チェック、改善までをマーケティング会社の手法を全部移植するつもりでコンサルティングします。)
はじめまして。株式会社マーケティングイノベーションの鈴木規子と申します。このたびは「アンケート調査代行サービス」の資料請求ありがとうございました。早急に御社の調査課題解決のご参考になるような情報も付加して、資料をお送りさせていただきたいと存じます。今後とも宜しくお願いいたします。株式会社マーケテ …
ビジネスコラム提供者情報
- コンサルタント:営業
- 株式会社マーケティング イノベーション
- 奈良県大和高田市昭和町2-2-708
◆当社代表 鈴木規子のプロフィール: ●マーケティング会社、シンクタンク、広告代理店にて20余年にわたり、100案件以上の上場企業のマーケティング調査と課題解決提案プロジェクトに携わる。 ●中小企業ではマーケティングが活用され …
マーケティング・集客戦略
最近SEO対策をする業者さんが特に多くなってきたように感じますが、みなさんSEO対策の考え方 …
[まくら話]あるスーパーの店長との会話。店長「ここ数年バレンタインは手造り志向ですね。それに女子高生でも、ブラ …
先日、嬉しい報告をいただきました。 住宅設備関連のクライアントからです。 過去に何度か新聞折込チラシをやった …
失敗しない起業のための事業計画作成方法あまりにも無計画当事務所は、起業支援特化型の会計事務所です。このため、お …
マーケティングリサーチ
先日、あるクライアント先でコンサルティングをおこなっていると、あることに気づきました。 このクライアントでは、 …
ヒットの理由何故? 世の中の技術や事業形態の変化が大きく、しかも早くなっていま …
今日のお客さま発想事例⇒「生活者の無意識をつかむことが、商品開発のポイントです」こんにちは!マーケティングイノ …
会員メニュー
会員限定のメニューです
気になったページのMyリストへの登録や、経営に役立つ情報メルマガの管理など、さまざまな便利機能がご利用いただけます