長時間労働=”悪”という風潮・・・は正しいのか?
「労災事故」や「未払い残業代」の問題が益々増加していく昨今ですが、今回はその根本原因となる長時間労働について考えていこうと思います。
私が各社様の内情を見ていく中で、「残業に関する考え方」が
社内で2派に分かれている会社が多いことに気が付きました。2派とは、「(残業派)残業=美徳」・「(定時派)残業=罪悪」です。
※これは、社風とも関連付けられる部分であり重要な要素です。
【残業派の意見】:定時に帰るなんて、真面目に仕事をしていない
【定時派の意見】:無駄な時間・作業が多いから残業になる(能率が悪い)
こんな状況が皆さんの会社の社内でも起こっていないでしょうか?
創業期や人数の少ないうちは問題がなくても、人数が増え意見の多様化によりこんな問題も起こります。
では、なぜ日本(特に中小企業)では長時間労働が一般化しているのでしょうか?
1.受注が好調で、やるべき仕事が多すぎる
2.そもそも人員が足りない
3.何となく帰りにくい雰囲気がある
問題となるのは3のケースです。もちろん、1と2のケースも多くの問題を抱えていますので、対策は必要ですが、今回はひとまず置いておきます。
この「何となく帰りにくい雰囲気」というものが無駄な残業時間を発生させる原因となる場合が多いです。「残業時間を削減したい」と表面上言っていても、実態は「長時間労働・休日出勤」をしている社員を評価し、その逆の働き方をしている人に対する扱いが悪くなるような風潮があると、結果的に無駄な残業を助長させることになります。
企業運営をしていく上で、残業時間の削減は労務管理上、非常に重要なテーマとなります。
上記のように、企業側は残業を減らしたい(残業代を削減したい)と考えている反面、ハードワークを強いる雰囲気を作っている場合は、本当に必要な残業以外の「時間つぶし残業」「アピール残業」には、細心の注意が必要です。仮に現時点で残業代を支払っていなかったとしても、未払い残業として請求された場合には、過去2年間に遡り、全社員に対して支払いの責任が生じます。もちろん時間つぶし残業についても支払いを求められるケースもでてくるでしょう。
長時間労働は未払い残業の増加につながり、さらには、残業代支払いによる企業倒産にもつながりかねない重大な問題です。成果が出るまで働け。という精神論では、法が許してくれません。
企業のリスクヘッジの観点からも残業時間の削減には早急に取り掛かりましょう。
※残業代は、基本的に毎月、残業時間1分単位での精算が法律で義務付けられています。
では、残業時間の少ない社風をどのようにつくっていったら良いのでしょうか?
その為には、会社として「残業できない・させない」という強い意思とメッセージの発信が必要です。
・定時以降の仕事については、上司への残業申請書を義務付ける
・ノー残業デーを設定する
・20時以降は強制的に消灯する
ここまでしたら、仕事が回らない。とお思いになる方も多いかと思いますが、終わりの時間が決まることで、今までよりも時間に対する意識が高まり、生産性の向上につながるはずです。
今回上げた「残業させない為のルール」は一例に過ぎませんので、実際の運用の際は自社の状況(受注量や払える残業代)を考慮した設定を行い、随時見直しを行い時間の短縮につなげていってください。
余談ですが、日本は先進諸国の中でも労働時間が長い国として有名ですが、その原因は残業です。始業時刻や休憩時間、終業時刻は、諸外国と比較しても大差はありません。
また、あまり話題には上がりませんが、勤勉と言われる日本人ですが、自宅での仕事時間や休日の自宅での仕事時間は先進国の中で下位に位置するという事実もあります。(日本:自宅での業務5.6分、休日の自宅業務18.1分・アメリカ:自宅での業務31.5分、休日の自宅業務58.2分)
諸外国では、ライフスタイルを尊重し、自宅で出来る仕事については家族との団欒の合間などにバランスを取りながら行っていることが伺えます。
※業務命令や業務上必要と考えられる仕事は、自宅での仕事でも労働に対する費用が発生するため企業側としては持ち帰りの仕事についても管理は必要です。
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