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エニアグラム活用事例

逆ギレする困った部下 タイプ9対策

J係長は、ある物流会社の新規プロジェクトに配属されて2年になる。

仕事量が多い割に本人の事務処理能力が低いことから、いつも仕事をこなしきれず、毎回、仕事の期限が守れなかった。

さらにJ係長は全て自分のペースでゆっくりやっており、周囲の様子や、プロジェクト全体については、われ関せず、を貫いていた。

業務の消化のペースは、3回催促されたら、着手することをモットーとし、仕事を頼むパートナーにも
「言われればやるが、言われるまではやらない」
と宣言。「仕事が遅い」と文句を言われても「わざとです」と言う始末。

Jさんの仕事のやり方を知っている人たちは、何も言わないか、早めに3回催促するように躾けられていた。

上司の0課長は、経理責任者であり、J係長の育成の係でもあった。

皆はJ係長の業務のあり方や人物に半ば諦めていたが、0課長だけは諦めず、J係長をなんとか成長させようと、日々心を砕いていた。

ある日のこと、J係長は3カ月も締め切りを過ぎた会計書類を、O係長に提出した。

その場で0課長はJ係長に遅れた背景等について問いただしたが、J係長の説明はいっこうに要領を得ない。

そればかりではなく、「自分は、3回催促されないと仕事をしないと皆に言ってあるのだから、遅れたからと言って、文句を言うのは間違っている」と0課長に食ってかかった。

このように、組織の中で周りのペースを無視し、自分のペースを貫く気質を、エニアグラムではタイプ9に分類する。


タイプ9は、ある特有の恐れを持ち、それゆえ判断、決断をしない性質から、しばしば本人が最も避けたい、『周りとの衝突』を起こしてしまう。

O課長は、J係長の態度が尋常ではないことから、J係長の内面にあるタイプ9が持つ怖れを見抜いた。

その逆ギレの症状が、人間の持つ、生命に関わる強い怖れから発したものであることを理解した。


O上司に逆ギレする、J係長を見て、周りは驚いた。

いつもはおっとりしていて、どちらかというと癒し系のJ係長のいつもの姿は、そこには無かった。

机を叩き、「遅いと文句を言われるなら、もっと早く自分に催促すべき。
3回催促すればやると言っているのに、催促しない課長に非がある」とまで言った。

実は、J係長の前任者は仕事中毒と言えるほど仕事熱心で、莫大な仕事の量をこなしていた。自分の得意分野だったからである。

しかしJ係長は、前任者のようにその仕事をこなす知識や能力はなく、担当した職務そのものに不満だった。適材適所とはほど遠く、つまりは人事部のミスであった。

それらも含めた、今まで溜めに溜めていた怒りが上司のO課長に向かって爆発したのである。

それは特にO課長への怒りだけではなく、数年にわたって会社に対して蓄積してきた怒りでもある。

J係長の気質であるタイプ9は数年に渡って怒りを溜める癖を持っている。人によっては、20年に一度、30年に一度大爆発を起こすとも言われている。

いつもは、やさしく、おとなしいタイプと近所では評判な子供が、突然父親を殺すなどという事件は、ほぼこのタイプ9の気質が引き起こしている。

J係長のタイプのもう一つの特徴は、周囲との暖かい関係に非常に重要な価値観を持っていることである。つまり、いつも誰かに気にされている存在であることはきわめて重要である。

しかし、他者は、J係長の仕事の結果を催促するばかりで、本人への配慮はしてこなかった。遅れている事実を責めるばかりで、本人の苦労や、本人をいたわり、気にかける者がいなかった。

決断や作業のスピードが遅くなったときに、「調子はどうだ」と一言声をかけてあげるだけで、タイプ9はやる気がだせるのであるが、誰もフォローしてこなかった。

エニアグラムコーチングを学んだO課長は、J係長がタイプ9であることを見抜き、J係長には、スケジュール作成に他者が関わることが必要なこと、常にスケジュール管理のチェックをこまめにし、J係長にとって気持ち良く仕事に取り組めるマネージメント方法に変えた。

実際には、全体の進行表を作成させ、週1回、進捗を報告させることにした。またJ係長の同僚を進捗チェック担当に命じ、時々スケジュールのチェックの声をかけるようにさせた。

それにより、J係長は、他者との繋がりを感じ、環境の平和、心の調和を得た。(タイプ9は、他者からのチェックを煩いと感じない性質がある。かえって喜びである

まとめである。

タイプ9へのマネージメントは、他者との関わりを重視する特徴を持つことから、周囲といつも暖かい関係にあることが実感できる環境をつくることで、やる気が出せる、と意識する必要がある。

実際には、誰かが、「今どのような具合か?」「いつまでに終了させるべきか」と、日に数度、ちょっと声をかけてあげるだけでも良い。

これによりJ係長は、以前のように、作業が数カ月に渡って遅れることもなくなり、本人の笑顔も戻ってきた。また、作業処理の効率も良くなってきたことから、課の業績も向上した。

◆最後に一言。

「J係長を甘やかせすぎだ」というご意見もあろうと考える。

しかしJ係長のように、能力、健全性の低い人物を使用するからには、O課長程度のマネージメント、コミュニケーション量は覚悟すべきが本当だ。

日本人マネージャーのコミュニケーション量はアメリカの4分の1。その結果、ある労働調査によれば日本企業の業務効率は、先進国で最低であると言う。

使う人物によって、マネージメント、コミュニケーションの方法を変えるマネージャーにならないと、本人のやる気をそぐばかりではなく、企業人のうつ、自殺は止まらない。

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コンテンツ協力:株式会社エニアグラムコーチング

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