労働時間の把握（うさみ労務管理事務所）

労働時間の把握

社員の労働時間の管理は何のため

労働時間の把握

■今日は「労働時間の把握について」を解説します。
　中小企業の場合、
　残業代の対策として、
　タイムカードを設置しない会社が多いのも事実です。

■これはタイムカードがないと
　〇　労働時間を客観的に計算する根拠がなくなる
　〇　社員から未払い残業で訴えられても証拠がない
　と考えているからです。
　　「この方法は有効」だと考えられてきました。

■また以前平成元年4月大阪地裁にて
　「タイムカードの時間で残業を計算するのは無効」
　という裁判例もあります。

■しかし、判決の「最近の傾向」は異なってきています。
　タイムカードがなく
　会社が労働時間を把握していない会社で
　社員が残業代を請求した裁判では
　〇社員の「個人の日記」に労働時間の記載あり
　〇この日記には業務内容も記載されていた
　〇日記に書かれた労働時間は信頼性ありと判断
　◯「個人の日記」から残業代の請求を認めたのです。
　「三英冷熱工業事件　東京地裁　平１９年８月」

　この裁判に限らず、
　最近の傾向は「会社側に厳しいもの」となっています。

■　例えば、社員が作成した　
　◯業務日報、業務週報
　◯個人的な日記　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　◯パソコンのログイン、ログアウトの時刻
　◯会社の開錠、施錠の時刻（セキュリティー会社の記録から）
　なども証拠になる可能性が高くなっています。

■また、会社が労働時間を把握していないと
　社員の残業をしたという主張に反証できないと
　社員側の請求を認めるという傾向が強くなってきています。

　これは裁判だけではなく、
　労働基準監督署の調査でも同じことが言えます。

■このようなことから
　「あっても無くても関係ないなら、無い方がいい」
　　と考えるには【最近では通用しない】のです。

■そもそも、社員の労働時間の管理は
　残業代の計算のためだけではありません。
　本来の目的は
　「社員の安全と健康を守るためのもので、過重労働の防止策」
　です。

■トラブルが起こってから
　慌てて対策を講じるより
　労働時間をきっちり把握することで
　労働効率を上げ
　会社を発展させることが大切ではないでしょうか？

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